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いつも君がいて


俺は日番谷冬獅郎。最近よく物思いに耽る事がある。
それは何故か?その答えは・・・アイツが死にかけたから・・・。俺が一生涯かけて守り続けると誓ったアイツ・・・幼馴染みの雛森桃を・・・俺が駆けつけるのが遅かったせいで、藍染にグサッと刺されてしまった。頭に血が上った俺は藍染に立ち向かって即やられてしまった。その時俺は、まだ力不足だったと実感した。俺は雛森より先に体調がよくなり、動けるようになった。そうとなれば、修行に尽くすしかない。そう、雛森を、もう二度とあんな目に合わせない為に・・・。

と、また物思いに耽ってた。いつもそうだ。なかなか書類が片づかない。こんなんじゃ修行なんて・・・。


「隊長?大丈夫ですか?眉間の皺がいつもより多いですけど・・・?」

俺が隊長を勤める十番隊の副隊長、松本乱菊は俺の眉間の皺の多さで俺に声をかけてくれた。そうじゃなかったら、俺は今でもアイツの事を考えて頭を悩ませていた事であろう。

「ありがとう、松本。大丈夫だ。」

俺はその時、思い切り笑顔を作ったつもりだった。しかしそれは何処となく悲しみに包まれている様に見えていた。

「隊長・・・。休憩ついでに雛森に会いに行ったらどうですか?」
「いや、でもまだ俺の分の書類片づいてないし・・・ってかなんでその事考えてるって分かったんだ!?」
「そのくらい分かりますよ。ほら、私の分は終わったので!隊長の分はやっておきますよ。ゆっくりして下さい。」

そう言って俺の副官は、俺を執務室から押し出した。まるで邪魔者の様な感じで・・・。



俺は松本に言われた様に、雛森の眠る、四番隊に向かった。もう、意識が戻っていて欲しい、そう願いながら・・・。
瞬歩で向かった為、すぐついた。中に入ると卯ノ花に会った。


「あ、あの・・・!えと・・・」
「雛森副隊長はこちらです。昨晩、部屋を変えましたので。それに、そのうち貴方が来るのではないかと、待っていたのですよ。」

何故、この四番隊隊長の卯ノ花烈は、俺の行動をすぐ察知して、待ち伏せられるのだろうか。本当に、わからない人だ・・・。
案内する卯ノ花に、俺は訊いてみた。

「あの・・・雛森は、まだ・・・」
「ええ、まだ意識は。でも、もう直だと思いますよ。その時は必ず居てあげて欲しいですね、貴方に・・・」

何で分かるんだ、この人はっ!!でも、逆らえない・・・そんなオーラを発する卯ノ花には・・・絶対逆らってはいけない・・・。
そう睨んでいる間に、雛森の元へと辿り着いた。

「では、ごゆっくり。」

何処の店だよ・・・そう言いたいが、これは卯ノ花の優しさなのだろう。俺は深くお辞儀をして、雛森の傍らへとゆっくり歩いて行った。


「雛森・・・遅くなった。本当は、もっと早く来るつもりだったんだ。」

話しかけても、こっちを向いてくれはしない。

「俺さ、もっと強くなって、いつか、世界中の誰からも護れる、お前のヒーローになってみせるから・・・だから・・・だからっ・・・・・・・・・!!」

俺は、泣かないと決めていた。だが、頬には涙が伝っていく。俺は必死にその流れる涙を止めようと努力した。でも、それは無駄な努力として終わり、俺は雛森の眠るベッドにしがみついた。

「桃っ!」

俺は無意識に雛森の名を呼んでいた。自分では気づかなかった。それに気づいた理由。それは・・・

「やめてよ、名前で呼ぶの・・・シロちゃん。」
「えっ?」

俺は驚いて顔を上げた。今まで目を覚まさなかった雛森だが、今は目を辛そうに、しかししっかりと開いて、俺の涙の流れる顔を捉えていた。

「何泣いてるの、シロちゃん?」
「お前・・・意識返ったのか!?」

雛森は優しく微笑んだ。それが合図となったのか、俺は雛森に抱きついた。雛森はそれを鬱陶しくは思わず、俺の頭を軽く撫でてくれる。懐かしい、あの頃の様な綺麗な指で俺は自分の髪を撫でられ、少しドキドキした。

「ゴメンね、シロちゃん・・・。長い間眠ってたの?心配かけちゃったね・・・」
「いや・・・確かに寂しかった・・・。でも、こうしてちゃんと意識が戻った、それだけで俺は充分だ。」
「ありがと。」

抱きついた状態の中、二人だけの時間は過ぎて行く。このまま、時間が止まってくれないだろうか。そうすれば、ずっとこのままだ。俺も休憩時間が残り・・・もうほとんどない。

「雛森・・・暫く、眠ってるフリしてられるか?」
「なんで?」
「誰にもばれない様にしてくれ。また、今晩来るから・・・」
「わかった。待ってるね、シロちゃんが戻るの。今度は私が待つ番って事ね。なるべく早く・・・ね?」
「わかってる。」

俺は自分の髪を撫でていた綺麗な手を放してその場を去った。振り返ると、雛森は早速眠ったフリをしていた。

「早く・・・仕事終わらせて、戻ってくるからな・・・」

部屋を出た所で呟いたその一言は、雛森に届いていたのだろうか・・・。


後書き
 雛森が目を覚ます小説一つ目です。これはヒツからの話。「夢の中で」の話は雛森からの話にしています。
 実際はこんな気持ちの良い目覚め方ではなかったんですけどねぇ〜。
 雛森はまだ藍染の事を慕ってて・・・。もう、目の前に幼馴染みがいるのにさぁ〜。
 気づいてやろうよ、ヒツが自分の事好きだって事くらいさ〜。雛森〜!!



UPDATE:2006.04.29
ルミガンで素敵なまつげ