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CHILDREN’S DAY
「隊長!おめでとうございます☆」
「何がだ?」
朝、執務室に入ると松本が明るい声で言ってきた。正直、何の事だかさっぱりだ。
「今日、こどもの日ですよ♪」
「・・・・・・・・・!うるせぇ!」
理解した。ああ、理解したよ、松本。お前が何を言いたいか理解したよ、俺は!
机の上に積み重ねられた書類に目をやり、俺は良い事を思いついた。
「おい、松本。」
「何でしょうか?」
「罰として俺の分の書類半分やれ。」
「ええぇ〜〜!?酷いですよ、隊長!」
「当たり前だ。だったら隊長に向かってんな事言うんじゃねぇ。」
松本は俺が傷ついているのを理解したのか、さらりと言った。
「しょうがないなぁ。わかりましたよ。3分の2やってあげますから。」
「いや、そんなにやれなんて・・・」
「いいから。残りやって雛森に会いに行きなさい。」
はい?俺はそんな事まで言ってないしね。心の中でも思ってないしね・・・まぁ多少思ってたけどさ・・・。
正直松本の勘の良さはすごいと思う。心が見透かされている、そんな気がする。
残りの書類を片づけた俺は、散歩に出る、と言って外に出た。するとそこには・・・
「日番谷隊長、久しぶり!」
恋次がいた。何故か恋次が俺を待っていた。待ってなくて良いのに、待っていた。邪魔なのに待っていた。俺の心を知らずに待っていた。
何故そこで俺を待っていたのか聞くと、笑顔でこう答えた。
「今日こどもの日ッスからね!」
と。あー、マジうぜぇ、コイツ・・・。
「これから雛森の所で柏餅食べに行くんですが、隊長もどうですか?」
“どうですか”って、俺は今そこに行こうとしてたんだよ!!
「俺も行く所だったんだ。」
「じゃあ一緒に行きましょうよ!そうしよう、な、イヅル!」
恋次の後ろには、イヅルがいた。影が薄すぎて気づかなかった。わりぃ、吉良・・・。
3人で五番隊に向かっているとその路中、草鹿やちるに遭遇した。
「あ!ヒッツー隊長だ!」
「日番谷たいち・・・」
「いいじゃん、ヒッツーで。長くて面倒だし。」
“日番谷隊長だ!”と言おうとしたのがわかった草鹿は、即答した。
諦めた方が良い・・・のかもな、コイツに対しては。駄目だ、ある意味敵わない奴だ、草鹿は。
「何処行くの?」
「雛森の所ッスよ。」
「あ、桃ちゃんの所?私も行くー!!」
お、俺も言えないのに、軽々しく・・・同じ女同士だからって、なんか許せない・・・。
知らない間に俺はワナワナ震えていたらしい。恋次が俺の肩をポンポンと叩いた。それが余計悔しくて、悲しくて、そして切なくて、その後五番隊に着くまでうな垂れていた。
五番隊に着くと、雛森が迎えに来ていた。
「みんな、待ってたよ!さ、中入って!」
雛森に案内され、俺たちは中に入った。中では、既に藍染が柏餅を準備して待っていた。
「さぁ、腰かけてくれ。ちゃんと全員分の柏餅あるからね。」
「ありがとうございます、隊長。」
雛森が小さくお辞儀をして、俺たちを招き入れた。藍染・・・俺の雛森に、よくも・・・!
また俺はワナワナ震えていた。恋次はクスクス笑っている。それがまた悔しかった。
席について、みんなでお喋りしながら柏餅を食べていた。雛森は・・・やっぱり藍染の隣り。その反対側の隣りには、恋次・・・何故だろう。何故お前が雛森の隣りに座ってるんだ?
駄目だ、もう駄目だ。俺はもう我慢出来ない。誰か・・・雛森・・・!!
「ねぇ、日番谷君、大丈夫?」
「・・・へ!?」
「さっきから柏餅食べてないけど、どうかした?」
恋次と雛森の場所がいつの間にか変わっていた。雛森の向こう側、恋次の顔を見ると、こっちを向いて笑っている。
「い、いや、別になんでもねぇよ!」
「そっか、良かったぁ。」
俺には最高の土産となった。ただこれだけで幸せだ。俺に見せるお前のその笑顔、ただそれだけで幸せだった。「こどもの日」という今日の行事も忘れる事が出来た。
後書き
今日はこどもの日。子供と言えばヒツとやちる。この二人を出したかった。
幸せにするなら雛森も出さなくちゃって事にしたんですが、何故か藍染いるし。う〜、思うような小説が書けなかったぞ!
しかも、ヒツが悲しすぎる・・・てかイヅル可哀そ過ぎた!何!?あれだけしか登場してない!?その後一緒にいるけど会話入っていない!?
ヒツはとことん子供扱いされてます。私最悪!ごめん、ヒツゴメン!本当ゴメン!それしか言えないっ!
UPDATE:2006.05.05