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HALLOWEEN


ハロウィーン。それは、子供たちが魔女やドラキュラなどに仮装して家を訪問してまわり、玄関前にて「トリックオアトリート!」と叫び、お菓子を貰う行事。
「トリックオアトリート」とは、「お菓子をくれないとイタズラするぞ」というような意味。
人間界の方では恒例の行事だが、ここ、尸魂界ではあまり親しまれてはいない行事の一つである。





十三番隊執務室。いつもなら隊長はいないこの部屋には、三日ぶりに病弱な浮竹隊長が書類整理をしていた。

「ちわー。あ、浮竹隊長、お久し振りです」
「阿散井副隊長じゃないか。書類持って来たのか?」
「ちょっとお願いがありまして・・・」





今から話す事は、阿散井副隊長が十三番隊を出てから数時間後の事である。







「遅い・・・・・・」

所変わってここは十番隊執務室。書類を届けに六番隊へと向かった副隊長である松本が1時間経っても帰ってこなくて、日番谷隊長は苛立っていた。
ちょうどタイミングよく扉がノックされた。やっと松本が帰って来た、そう思って立ち上がり、扉を開け・・・・・・

「遅いぞ、まつも・・・・・・!」
「なんすか?血相変えて。らしくないっすよ、隊長」
「阿散井・・・何故ここに・・・・・・?」
「いやぁ、今日何の日かご存知ですか?」
「今日?何の変哲もない平日昼だが」
「そんな答えのために訊きますか普通」

そう言って阿散井は日番谷専用衣装を抱えていた中から取り出す。黒いマント、黒い帽子、そして、牙・・・。
なんのつもりだ、そう言いたげに受け取らず睨みつける。阿散井はカボチャの籠を持っている。

「今日は、ハロウィーンですよ。子供たちが色々なものに変装して、『Tric or Treet!』と叫んで、お菓子を貰い集める日です」
「なんだそりゃ」
「現世だと恒例行事みたいっすよ?一護から聞いた」

日番谷はお断りだ、そう言って席に着いた。しかし、阿散井の方は一歩も引かずに机の前に立つ。睨みあいの結果、いつの間にか日番谷は衣装を受け取っていた。
甘い物が好きではない日番谷だが、まぁここにいても仕事だらけでつまらない。ならばたまには遊びまわるのも悪くないな、そう感じたからだ。


数分後。日番谷はドラキュラ、阿散井は大鎌を携えた現世の人々が想像していると言う死神の格好に着替えた。そして、二人ともカボチャの籠を持っている。何処からどう見ても、尸魂界では変人にしか見えないであろう。

「行きますか、隊長」
「おう。いい暇つぶしになるぜ」


まず、二人が向かったのは十三番隊。先程阿散井が話があると言って隊長である浮竹と相談をしていた場所。そう、あの時相談した事とは・・・・・・

「浮竹隊長!!トリックオアトリート!」
「と、とりっくおあとりーと・・・・・・」
「やあ、日番谷隊長。二人ともどうぞ、アメとクッキーとチョコレートだよ!」
「は、早いな・・・」
「俺もな、一護くんから以前にこういう催しがあると聞いたんだ」

浮竹は半分本当で、半分嘘をついた。以前に聞いたのは確かだが、詳しい内容などは先程阿散井から聞いたので、本当の事ではないのだが。
阿散井は予定通り事を進めようと、浮竹に礼を言って、続いて自分の隊へと向かった。

「朽木隊長、お疲れ様です。トリックオアトリート!!」
「何用だ。お菓子が欲しいならそう言えば良いものを。これで良いか」

朽木隊長は二人の籠にクッキーを入れ、用事がないなら早くこの場を去れ、と言った。
日番谷にしてみれば、何故六番隊の朽木まで今日の行事を知っているのかと驚いていたのは言うまでもないが、恐らく阿散井の奴が後で来るからお菓子を用意して待っててくれ、とでも頼んだのはすぐに予想がついた。
続いて向かうのは何処だろう、と日番谷が思ったときである。

「あら、隊長。こんな所で何をしてるんです?ドラキュラですか?」
「ま、松本っ!何処で何してやがった!?」
「私は六番隊に書類を届けて、そして帰りに会った勇音と清音、それからネムとお喋りしてたの。あ、そうそう。今日ってハロウィーンなんでしょ?清音に聞いたわ。何か言う事があるんじゃないの?隊長」
「あ、えと・・・とりっくおあとりーと・・・・・・」

何故松本に言わなければならないんだ、そう思いながら日番谷は少し下を向いて呟いた。
松本は、正解、という感じで袋詰めした大福やらまんじゅうやら煎餅やらよく執務室で食べているようなものを次々に入れた。

「あと、これはネムからで、こっちは勇音と清音から」

今度はラムネやらポテトチップスなどをポンポン入れた。カボチャの籠はもう既に溢れそうになっていた。


「さて隊長。次で最後にしましょうか。気づけばもうお日様が赤くなってますしね」
「最後は何処だ」
「何処だって、わからないんですか?一番行きたかったの、五番隊じゃないんですか?」
「こ、こんなカッコ見せられるかよ・・・・・・」
「もう何度か通ってたの知らないんですか?」

阿散井は何度か会っていた、と言って前を歩き始めた。何処であったのか全く検討がつかない日番谷は一人頭を抱えたまま阿散井の後をついて、幼馴染みの待つ五番隊へと向かう。

「藍染隊長、雛森!トリックオアトリート!!」
「阿散井副隊長、似合ってるじゃないか。そっちの十番隊長さんも」
「う、うるせぇ・・・」

雛森がジーっとこっちを見ているので恥ずかしくて下を向きっぱなしの日番谷。

「シロちゃん、無駄に似合ってるご褒美!桃まんじゅうとアンミツをプレゼント!!」

何故そんなものがすぐ出てくるのか全く不思議でならない日番谷は、もう我慢の限界で、雛森に問いただす。

「なんでって、言っていいのかなぁ・・・・・・」
「いいぜ、もう他には行かないし」

目で訴えた雛森。その訴えがわかった阿散井は頷いた。

「あのね、お昼前だったかな?阿散井くんがここ着てね、夕方くらいの予定だけど、自分と日番谷くんがここに『トリックオアトリート』って言ってお菓子貰いに来るから、日番谷くんにあげたいお菓子用意して待ってて、って言われたの。それで、夕方前にお菓子買いに行こうかなって思って、何が言いか浮竹隊長に聞きに言った時、日番谷くんが着ちゃって、裏から帰らせてもらったの。その時にね、見ちゃったんだ、ドラキュラ姿の日番谷くん」

もう、初めのうちから見られていたのかと思うと溜息しかでなくなってしまったひつがやであった。
しかし、救いの手はまだある。

「日番谷くん、この後阿散井くんと乱菊さんとね、お食事しに行くんだけど、一緒に行かない?着替えは六番隊置いてくるでしょ?」
「ああ、これ俺のだしな」
「い、いいのか?」
「そのつもりだったし。十番隊はもうお開きしちゃったらしいから帰っても隊員さんほとんどいないと思うよ?」




それから1時間後。みんなで尸魂界一美味しいと言われているレストランへと向かい、今日の出来事について語り合った。


後書き
久しぶりの更新!!・・・が何だが行事物orz自分情けないYO;
それはさて置き、これ書くの何気楽しかった。ハロウィーンと言えばヒツだろ、そんなイメージからです。
というか、今アニ○イトでは多くのハロウィーングッズが売られていますよ!!
その中に、ヒツと恋次のツーショットのハンカチとかありまして^^そこから考え出しました。
他にも、広告の中に浮竹隊長がヒツにお菓子を餌付けしているのもありましたね。
いいなって思ったけど金ないので諦めましたが;



UPDATE:2006.10.28
ルミガンで素敵なまつげ