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獅子と狛村?


名前を聞くととてもカッコよく聞こえる名前。でも漢字で書くと、とてもいかつい漢字を持つ、十番隊隊長、日番谷冬獅郎。
彼は史上最年少で隊長となった超頭脳の持ち主である。
そんな彼だが、今は雑用ばかりをこなしている。その理由は、多くの隊員、はたまた副隊長である松本乱菊までもが今、風邪の為不在だからだ。
隊舎内の汚れた窓の掃除やら執務室の片づけ、そしてまだ自分の机の上には倒れんばかりの書類が山積である。
本来なら残っている隊員に任せるのが普通である。しかし、日番谷はもう既に大量の仕事を命じた。それでも自分の所にも、大量の仕事が残された、という経緯が裏にはあった。



いい加減疲れた、と自分の席を外してソファーに寝そべっていた。机の上には先日松本が残して行ってくれた現世のお菓子などが無残に積み重ねられている。

「疲れてる時は甘い物を食べると良いって、本当なのか・・・?」

自分の身体に押し寄せる疲労を感じ、目の前に積まれた一番上のチョコレートに手を伸ばした。

「うまっ!」

自分の口に合う味で、次々と口に入れる日番谷。ふと、以前に読んだ書物の事を思い出していた。
その書物には、『犬にチョコレートを食べさせてはいけない』、そう書かれていた気がする。何故か?そこまで覚えてはいない。
「犬か・・・・・・・・・狛村隊長に食べさせたらどうなるんだろう?」
そう考え、初めて狛村に出会った日の事を思い出していた。


あれは、夕焼けの綺麗な夕方の事であった。
日番谷は隊長成り立ての頃、尸魂界内を散歩していた。
すると、前からカゴの様な物を頭からかぶった人が歩いて来た。日番谷は不思議そうに見ていた。

「やあ、どうしたんだい?」

親しげに話しかけて来て少々驚いていたが、その時感じた感覚に、口が滑ってしまった。

「・・・ワンちゃん?」
「・・・・・・・・・」

日番谷の一言で暫く沈黙が走った。

「何故・・・何故わしが犬だとわかったのだ、お主。普通ではないな?」
「ああ、紹介が遅れた。俺は、こないだ十番隊の隊長になった日番谷冬獅郎って言うんだ。」
「お主が?まさか、史上最年少の・・・!?」

コクリ、と頷く日番谷に、相手はそれじゃあ、と日番谷を建物の物陰に連れて行った。そして、隊長ならば、とカゴを外し始めた。

「ほ、本当に・・・犬なのかっ!?」

カゴの裏に隠された相手の素顔を見、驚きのあまり日番谷は裏声になってしまっていた。

「その通り・・・。わしは、七番隊隊長、狛村左陣と申す者・・・」
「七番隊・・・そうか、よろしくな、コマッ!!」

狛村は、早速略して呼ぶ日番谷に唖然として言葉を返せなかった。


それが、日番谷冬獅郎と狛村左陣の出会いであった。そう、これが現世で言う、『獅子と狛犬』伝説である。しかし、この日から尸魂界では『獅子と狛村』となった。


そんな昔の事を考え、クスクス苦笑していた日番谷。目の前に積まれていた筈のお菓子の山はいつの間にか減っている。しかし、自分の机の上に置かれた書類の山は、全く減っていない。

「あー、これが、『犬の手も借りたい』って事なんだな・・・」

天才と謳われる日番谷であるが、自分の今言った台詞の過ちに気づかず、自分の机の上にある書類を片づける為、重たい腰を持ち上げた。


後書き
 えー、すみません(笑)まずはこのような小説になってしまった経緯から・・・。


 ヒツにチョコレートを食べさせたくて、でもヒツは誰かに見られるのが嫌いで。だから、乱菊さんも隊員もいない設定。
 疲れている時には甘いものを食べると脳に糖が回って良くなると思ってさ、疲れてる設定にする為に隊員もいない。きっと冬だね(笑)
 そして私はチョコレートを犬に食べさせてはいけないと前に知ったので、「お、これは行けるぞ!」と思い確実にヒツに食べさせられて、
 頭の良いヒツだからその事思い出して過去への回想・・・。

 ヒツは犬好きだったんですよ、きっと。だから「ワンちゃん?」だし、何となく狛村が犬だと察したんです。
 そしてコマ変態(~_~;)何故人気のない所へ連れてって籠脱ぐんだよ。自分で書いててありえないと思いました><許して!
 そして、「獅子と狛犬」→「獅子と狛村」という事を書きたかった。ただそれだけで完成した小説。
 最後はお茶目な日番谷隊長で終了。何となくまとまった小説になりました☆(どこがだよ)



UPDATE:2006.05.04
ルミガンで素敵なまつげ