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悲しき現実


お前は、俺と幼馴染みとして、いつも一緒にいてくれた。

喜びは共に味わい、怒りはぶつけさせてくれて、またぶつけてきてくれた。俺が悲しかったり寂しかったりした時は、一緒に泣いてくれて、慰めてくれた。楽しいものは一緒になって楽しんだ。そう、俺とお前はどんな時も一緒に居た。

俺には、お前が必要なんだ、そう思った時にはもう、お前はいなかった。


お前は俺より年上だった。その為も有り、俺より先に学校に通い始めた。俺は、独りになってしまった。この寂しさと、誰が一緒に泣いてくれるのか?答えは唯一つ。お前以外の誰でもない、それだけだった。そんな事をまだわからないくらい幼かった俺は、ずっと自分に言い聞かせていた事があるそれは、
「お前なんかいなくたって…お前なんかいなくたって…」
だった。ずっとそう自分に言い聞かせて強がっていただけなのかもしれない。その事に気がついた時は、もう半年も経っていた。

独りで何をしても全然面白くない。独りで過ごす事、それがこんなにも苦しい事だったなんて…。きっとお前は今頃、俺の事なんか忘れて勉強で忙しいのかもしれない。

そう考えた途端、俺は泣きたくなった。しかし、この涙を受け止めてくれる奴がいないんだ。だから、俺はもう泣かない。そう強く胸に誓った。

その日から、俺は初めて『孤独』に向き合った。
「俺は男だろ。いつまでアイツに…過去にしがみついてんだ。俺が、アイツを守ってやらなくちゃいけないんだ、そうだろ!?」
それからは、親父の元で毎日毎日訓練と鍛錬に励んだ。そして3年後、俺も真央霊術院に通う事になった。ようやく、お前に会える、そう思って真央霊術院へ通い始めた。


学校で、久しぶりに会ったお前は、俺以上に成長していた。
友人と並んで歩き、昔から頭の良かったお前は、友人にも信頼感を抱かれ、イキイキしていた。そんなお前を見て、俺も頑張らなきゃ、と感じた。お前には声をかけずにその場を去った。


俺はおよそ4年で卍解に辿り着き、一気に十番隊の隊長となった。その頃には、もう既にお前は藍染率いる五番隊の副隊長。俺は、ようやくお前と話せるくらいの座に着いた。隊長になったお祝いに、お前は俺に会いに来てくれた。

「日番谷君、おめでとう。」

その時、俺はお前に突き放された、そんな感情を抱いた。あの時の会話が、この日の俺の心に深い傷を作ってしまった。


『じゃあ私もう行くね、シロちゃん。』
『おい桃。お前もうその呼び方やめろよ』
『じゃあ、私より強くなったら、ね!シロちゃん!!』


お前は俺より強くなったら呼び名を改めると言った。そうか、俺が隊長になっちまったんだもんな…。もう、前のようには呼んでくれないんだな…。俺は、距離を縮めるつもりであの日から過ごしてきた。そんな過去が、余計俺とお前の距離を遠ざけてしまったらしい。

あの日を境に、俺達の間には見えぬ境目が引かれ、悲しみの落とし穴の奥底へと俺は無残に落とされた。

もう、楽しかったあの日々には戻る事など出来ない。こんなにも辛くて悲しいのに、もう二度とお前に慰められない。


「ああ、ありがとう、雛森。お前も憧れの藍染隊長の副隊長、おめでとう。」


俺はいつの間にかお前の事を『雛森』と呼んでいた。前のように軽々しく、『桃』とは呼べなくなってしまったから…。


後書き
 シリアス小説はこのサイトでは初めてかもね。ちなみにこの小説、私がBLEACHの小説で初めて書いた小説なんです。
 部屋の片づけしてたら出てきました(^_^;)最初の頃は、まだこの二人に大した「愛」が無かったみたいです、私の中で。
 今はやばいくらいの「愛」が炸裂してますがね。

 GWという事で、日記でも言いましたが、毎日更新していきたいと思います。
 今日は一日目なのでシリアスで。ってか、初めての小説を載せなくちゃ、とずっと思ってたんだよね。ようやくだよ(-_-;)
 明日も更新予定wどんなのにするかは私の気分次第なので^^でも、何故か知らないけどかなり更新する小説貯まってるんだよね。
 毎日更新頑張ります、はい・・・。



UPDATE:2006.05.03
ルミガンで素敵なまつげ