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一心不乱な思い
「ちわー、恋次!元気かぁ?」
俺は今、六番隊に来ている。十番隊からの書類を届ける為、わざわざ隊長である俺が赴きに来たのにはちゃんとした理由がある。
「日番谷隊長、こんにちは。どうしたんですか、わざわざ隊長が書類届けに来るなんて。」
「ああ、ちょっと訊きたい事があってさ。・・・その、雛森の事なんだが・・・」
「雛森がどうかしたんですか?」
「ちょっと最近様子がおかしいんだよ・・・。毎日俺の所に遊びに来てたアイツが、途端に来なくなって、心配なんだ。」
とても不安だった。その気持ちを暴露出来るのは、恋次だけだった。何故だか、他の誰より不安をぶちまけられる。
恋次も少し心配になったのか、考え込んでいる仕草をしている。
数分、沈黙が走った。どちらも真剣な表情をしていて、事態が深刻化している事が見てとれる。
その沈黙を破ったのは、恋次だった。
「とりあえず、五番隊に寄りました?」
「いや・・・」
「行ってみたらどうっスか?」
何もしないより、それが一番だと思った。俺は頷いて、六番隊を後にした。
向かったのは、自分の隊、十番隊。もしかしたら昨日、一昨日と用事があって来れなかっただけで、今日来ているのかもしれない、そう思ったからだ。
十番隊に着いて執務室に入ったが、そこには自分の副官しかいなかった。
「随分長かったですね、書類届けるの。恋次とお喋りしてたんですか?」
「あ、あぁ。」
「あまり遅いので、隊長の分の仕事、やっておきましたよ。」
「わ、わりぃ・・・。後はやるから。」
「もう終わりました。どうぞ休憩しててください。追加が来るまで。」
松本は俺を執務室から追い出すと、ドアを閉めてしまった。
俺は気づいていた。机の上にはまだ、俺の仕事の分が残っている事。終わっている、などまっかな嘘。じゃあ、なんで嘘をついてまで俺を外に・・・。
まさかっ!・・・・・・・・・ふっサンキュー、松本。気づいてたんだな、俺が何に悩んでいるのか。
「松本ー!サンキューな、散歩してくる!!」
良い副官を持てて、俺は嬉しかった。自分を理解してくれているのが何よりだ。
松本に礼を言って、俺は十番隊を出て、今度こそ、五番隊へと一直線・・・の筈だった。
「日番谷隊長!」
「あぁ!?なんでてめぇが・・・」
「いや〜、お菓子のお裾分けをしよう思ってさぁ。」
出会ってしまったのは、十三番隊の名前通り浮かれた隊長だ。一番会いたくないのに・・・。
「そんな顔しないでくれよ、ほら、冬獅郎の大好きなタケノコの里だよ☆」
「別に好きじゃねぇ!!」
「そんな事言うなよ。雛森君と分けて食べなさい。」
「・・・え?」
「これから行く所なんだろ?顔に書いてある。」
「なっ!!」
何故、この人も分かるんだ、俺の心が・・・。そんなに俺は、わかりやすいのだろうか?隠しきれていないっていうのか!?
とりあえず浮竹を振り切る為、手渡されたお菓子を受け取り、俺は五番隊へ急いだ。
「はぁ・・・やっと着いた。・・・・・・・・・雛森ー!いるかぁ?」
出来るだけ大きな声で五番隊の前で叫んだ。すると俺の背後から手が伸びてきた。
「うわぁ!」
「驚いた?」
「な、何すんだよ!」
「それはこっちの台詞。人の隊舎の前で大声で名前呼ばないでよ。」
意外と普通で、俺が心配する事ではなかったみたいだ。安心した・・・筈だったが、何だかまだ、物足りない気がする。
その感情が俺の表情を変化させ、逆に雛森に心配された。
「どうしたの?」
「あ、いや・・・なんで昨日と一昨日来なかったんだ?」
「何よ、いつも邪魔扱いするから行かなかったのに!」
そうか・・・自分のせいだったのか・・・何故俺は邪魔扱いしてしまったんだ?
自分の心を制御しきれない。何故だ?何故なんだ!?何故お前の前にいると自分の心を保てないんだ!!?自分が何を思って何をしたいのかまでわからない。
この気持ちの高ぶりを何と言うのだろうか。自分でも分からない。気持ちを抑え切れなくて、気がついたら俺は雛森を思い切り抱きしめていた。
「ど、どうしたの!?」
その質問の答えは自分でもわからない。何故か急に、雛森を抱きしめたくなった。何故なんだろう・・・。
しかし、これだけは分かる。俺は、雛森を失いたくないのかもしれない、それだけは。それだけ分かるから、次の言葉が言えるんだ。
「雛森・・・絶対護るから。」
どんな敵が待ち構えているのか分からない。でも、どんな奴が敵でも護らなければならないんだ。
なんでそう思ったのかはわからなかった。でも、自分の心が持つ希望は、それだと思った。失いたくはないんだ、そうだろ、冬獅郎・・・。
この心に誓う 絶対雛森を護ると
この刀に願う 雛森を護ってあげろ
一体、雛森は俺の、なんなんだ?ただの幼馴染みじゃないのかもしれない。
ただ、わかるのは、俺の心に宿るこの思いはただの「思い」だけではない。そう、お前を抱いた時に感じた、この心の乱れ・・・。雛森の事だけに心を注いで、他の事は気にもしない。きっとこの感情を言葉で表現しようとするなら、「一心不乱」と呼べばいいのだろう。
後書き
どうでしょうか・・・?自分じゃあ出来がわからなくて。それになにさ、これ。何を書きたかったんだ!?(知るか)
私はね、「一心不乱」な感情のまま雛森を護り抜く日番谷の姿を書きたかったのに、その気持ちを知らず最後に「この気持ちは一心不乱というのかも」と気づく事に・・・。
いやー、思うような小説書けませんねぇ。でも・・・日雛小説だけど出だしは恋日だし途中は日乱だし。ホンマ何したかったんねん。
と聞きたい、自分に問いただしたい。
てかね、これの時期設定なんですが、一護が死神化する前です。てかルキアが現世に赴く前(^^ゞ
ヒツが隊長就任の間もない頃なんです。雛森もヒツもお互い寂しくて毎日遊んでたんだよ、十番隊執務室で(笑)
そんな事より字がピンク過ぎて読みにくかったりする(-_-;)すみません〜(>_<)
UPDATE:2006.05.06