本日晴天
今日は久しぶりの晴れ。ここ数日雨が降り続き、気分も悪く仕事が進まなかった。
しかし、今日は梅雨の時期の雲のないくらいの晴天・・・そう、五月晴れ。誰でも気分は良くなる。
ここ十番隊もそうである。朝から昨日までにやらなければならなかった筈の書類やらを片づける作業をずっと隊員たちはこなしていた。
そんな中、十番隊の隊長は日向ぼっこを兼ねて外観の掃除をしていた。昨日までに降り続いた雨により、近くの木の葉が落ちてしまったらしく、隊舎前はとても汚かった。それに気づいた隊長は仕事を隊員に任せ、一人五月晴れの温かな日差しに当たっていた。
「ねむ〜。」
あまりに温かすぎて眠くなってきた日番谷はそう呟いていた。
その呟きに返事を返した相手、それは副官の乱菊ではなかった。
「呼びましたか?」
その相手とは、十二番隊の副隊長、ネムであった。
「ネ、ネムさん!?こんな所で何を・・・?」
「何を言っているんですか?呼んだのはそちらではないですか。」
「いや、あれは『眠い』って意味で・・・」
日番谷は誤解を解こうと必死である。しかし当のネムは「そんな事わかっています」と言いながら必死だった日番谷に微笑んでいた。
「それで・・・何しに来たんだ?」
「こちらの書類を十番隊長さんに、と頼まれたので。」
日番谷はネムから手渡された書類を受け取った。
「ありがとな。」
「いえいえ、大した事ではありませんよ。それより十番隊の隊長さんが何故掃除なんかを?」
ネムは疑問に感じた事をそのまま述べた。ネムにしてみれば、隊員に任せればいい、と思っているのだろう。
「綺麗好きじゃ悪いかっ!」
日番谷は少し照れながらそう言って誤魔化していた。別に誤魔化さなくても、見た目上書類整理のようなお堅い事は嫌いそうなので、それから逃れる為だという事は何となくわかる。
それが分かったからこそ、ネムは再びクスクス笑って日番谷に別れを告げた。
「それじゃあその書類、お願いします。隊長印が必要みたいですから。」
「ああ、わかった。」
「その書類はまとめ終わったら六番隊の朽木隊長にお渡しして下さればよろしいみたいです。」
そう言ってネムは些細な幸せを噛み締めて、苦痛だらけの自分の隊へと帰って行った。
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