三角形?
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「なら、しばらくうちの高校通えばいいじゃねぇか」
「は?」
「どうせクラスメイトのやつらの記憶だって消す事が出来るんだろ?だったら思い出作りに来いよ」
それもそうだな、と冬獅郎は頷く。隊長が行きたいのなら、と恋次も行く事になった。
翌日は小学生のような転入生と、不良のような男子が転入してきた、と一護のクラスは盛り上がった。
何より人気だったのが冬獅郎の方。何故か年を訊く質問が多く、妙に苛立っている冬獅郎の肩をポンポンと叩き、一護は自分の携帯電話を差し出す。
「こっちの携帯は連絡だけじゃなくて、ゲームで遊ぶ事も出来るんだぜ」
「へぇ〜」
冬獅郎は少し興味を持ったように一護の携帯を受け取った。するとその画面には「テトリス」と記されていた。
「テトリスって、何だ?一護」
「あっ!ずるいぞ、一護っ!おめぇだけ呼び捨てにされやがってっ!隊長、俺の事も『恋次』って呼んで下さい!!」
恋次を無視して一護は冬獅郎にやり方を説明していた。その二人を羨ましそうに恋次は睨みつける事しか出来なかった。
「あーやべぇ、負けるっ!!」
レベル6になり、スピードも速くなってきて、冬獅郎は慌てふためきながら奮闘していた。それを見た一護は、恋次とお喋りしていたのをほっぽって冬獅郎の背後に回る。
「これをここに入れて、次これを入れて・・・ほら、消えた。次はこうして・・・・・・」
一護の説明なんて冬獅郎の耳には届かない。理由は、すごい密着していたから・・・。
「おい、一護っ!近すぎだ!!」
恋次は一護の身体を引っ張ろうとしたが、その手はすぐに止める羽目になる。冬獅郎の霊圧によってその手は封じられた。
「一護は俺のために教えてくれてるんだ。余計な口出しはしないでくれ」
余計な、と言われてしまい、かなりのショックを受け、それから下校時まで恋次は冬獅郎と一護の両方と一言も喋らなかった。
帰る時である。冬獅郎は一人で帰ろうとする恋次を止めに行った。
「阿散井!・・・いや、恋次。一緒に帰ろうぜ?」
一護は一日中冬獅郎といれたのでこのあとは二人きりにさせてあげよう、と気をきかせて冬獅郎に声をかけるように促したのだ。
そのあと一護は二人に別れを告げ、自宅へと向かった。
「今日は阿散井の気も知らないで一護といて悪かった」
「隊長は何も悪くはありませんよ」
それは本音である。しかし、心の傷はまだ痛んでいた。もう、離れたくはなかった。
浦原商店では、二人は同室で寝る事になっていた。今日も二人横に布団を引いて寝る準備をしていたのだが・・・・・・。
布団の上に恋次はボーっと座り込んでいた。どうしたのか聞いても返事がない辺り、たそがれているのかと思って、そ〜っと恋次の背後に座り込む。そして・・・・・・・・・
「わぁぁあぁぁ!」
「れ〜〜んじっ」
恋次にムギュ〜〜と抱きつくその無邪気な冬獅郎に、クヨクヨしていた暗い心も、一瞬のうちにして晴れた。自分は、嫌われてなんかいない。そう、実感する事が出来て、恋次は何度も何度も、冬獅郎にお礼を言っていた。
冬獅郎は、ただ、暗い恋次を元気にしてあげたかっただけ・・・。
温かい心を持ったその少年は、これからもこれからも、みんなに好かれる事であろう。
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