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砂時計の法則


今、一年C組は体育の時間。しかし、森と植木が先程からいない。
二人がいなくなる前の事。体育ではドッジボールが行われていた。初めはきちんと二人とも参加していたのだが。
数分が経過する。

「キャッ!」
「あいちゃん!」
「あたたたた・・・。当たっちゃったv」

森は足にボールが当たった。その反動で尻餅をついてしまったが、その時は誰しもがある間違いだ、という感じで笑顔があったのだが、その後森が立とうとしたその時。
グラッ
森は立った時に感じた痛みに耐え切れずに倒れてしまった。しかし、倒れこんだのは体育館の床ではなくて。

「大丈夫か、森」
「う、植木・・・」

森をしっかりと受け止めたのは、クラスメートで、そして夏休み頃から仲良くなった男の子、植木耕助であった。
彼は心配そうに抱きとめた森の顔を覗き込んでいる。

「だ、大丈夫よ、少し足が痛かっただけで」
「いや、大丈夫じゃねぇ。保健室行くぞ」

植木は森を抱いたまま歩き出そうとする。森はまだ地面に足がついている状態で。痛くて歩き出せない。

「ま、待ってよ、植木」

森は植木を呼びとめ、そして先生を探そうと辺りを見回した。すると、体育館の隅で椅子に座って眠っている体育の先生がいた。

「大丈夫よ、先生にはちゃんと言っとくから。あいちんは保健室行ってきな」
「俺の分も言っといてくれ」
「わかった」

森の友人達がニコヤカに森と植木を保健室へと送り出す。森は少し有り難く思っていた。

「歩けるか?」
「う、うん、とりあえず・・・」

ビッコを引きながら歩いているが、植木はもう見ていられなくて、即座に森の身体を抱いた。勿論お姫様抱っこ。

「ちょっ!恥ずかしいよ!!」
「今は授業中だ。誰にも見られないだろ」

確かにその通りだが、それでも恥ずかしい、と言って植木の腕の中でジタバタする森。それがまた可愛くて、植木は嬉しそうに保健室へと歩き始めた。

保健室の前に着き、森をおろしてあげる。
森は礼を言って、保健室のドアを開いた。

「あら、どうしたの?」

保健室の先生がこちらへと歩いてくる。
森は事の経緯を話そうとするが、先に植木が話し始めた。

「体育でドッジボールやってて、森が足に当たってその衝撃で倒れちゃったんですよ。それで、足が凄い痛むらしくってあまり歩けないらしいです。それで連れてきた」
「わかったわ。とりあえず、体温測ってて」

先生は森に体温計と砂時計を渡した。
植木はその砂時計を初めて見たらしく、それをじっと見つめていた。

「あぁ、これ?砂時計って言うんだよ」

森は珍しげに砂時計を見る植木にそう教えてあげた。

「砂時計?」
「そう。これを逆さまに倒せば三分が計れるの」
「へ〜、すげぇな」

植木が砂時計を引っくり返そうとするのを森は止めた。
そして脇に体温計を挟み、植木に「いいよ」と砂時計を逆さにするよう促した。
カタン
植木は言われたように砂時計を逆さまにした。そしてすぐ時計を見る。

――今は十一時十三分。三分って事は、十一時十六分までか。

植木はうんうんと頭を縦に振って、そしてまた砂時計に目を向けた。少しずつ砂が下へ落ちていく。

「なんで砂でしかもコレだけなのに、三分もかかるんだ?」

すぐ落ちない理由がわからず、ゆっくり落ちていく砂を眺める。すると、真ん中が細い事に気がついた。

「真ん中が細いでしょ?」

植木が何かに気づいたという顔をしたのを見て、森は始めた。

「そこを通過できる砂の分しか通過しないの。全部の砂が通過するまで三分かかるのよ」

凄い技術だな、と感心して植木は半分ほど通過していった砂時計を見ていた。
植木は未だに珍しそうに眺めていた。
そうしている間に、あと少し。
サラサラッ
最後の一粒の砂が落ちた。森が脇から体温計を抜いたのと同時に植木は振り返って時計を見た。しっかりと十一時十六分を記録していた。

「すげぇ、ちゃんと三分だ」
「でしょ?これ以外に五分の砂時計とかがあるのよ」
「そうなのか!?」
「うん。でもここにはないですよね、先生」
「えぇ。森さん、何度でしたか?」
「あ、えと・・・三十六度五分です。なんともないみたい」
「それは良かったわ。じゃあボールが当たったところ見せて」

森は先生に言われたようにボールが当たった部分を先生に出した。
そこには青あざがしっかりと出来ていた。
大した事ない、と言って先生はそこに包帯を巻いた。

「あまりここを動かしたりしなければそのうち治るわよ」
「有難う御座います、先生」
「俺が抱えていくんで大丈夫です!」
「ちょ、植木っ!」
「いいじゃない、頼もしい彼氏」
「「彼氏っ!?」」

植木と森は同時に叫んでいた。
植木は少し嬉しそうに、森は違います、と腕と首を振りながら。
その二人の相反する行動を先生は面白がっていた。

「じ、じゃあお世話になりました」
「まだ無理しちゃ駄目だっ!俺が抱いてってやる!」
「いいわよっ!」



これから、砂時計のようにゆっくりと進むであろう二人の時間。大切にして欲しい、と先生はそのふざけながら歩いていく二人の背を温かく見守っていた。



後書き
皆さんすみませんっ!(いきなり何
久しぶりのうえき小説更新がこんなんで・・・(あぁそういう事か
タイトルの「砂時計」というのは結構前からあったんですがね、まったく書くの忘れていたんですよ(涙)
更新遅いからかなり頑張ってやっていたのかと思いきや、最後とかまったくまとまってないじゃん。最後だけじゃないけどさorz
あぁ、もっと植森LOVEwwって感じの小説書けるようになりたいな♪



UPDATE:2006.06.18


プロギノバ