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大切な日の過ごし方の法則


「ねぇ植木。誕生日、何が欲しい?」

あと10日ほどで植木の誕生日。森はその植木に何かあげようかと考えていたが、植木の欲しそうなものが一向に思いつかない。
そこで本人に訊いてみようかと思ってわざわざ電話をかけてまで尋ねている所である。
植木はしばらく悩んだ末、特にない、とだけ答えた。

「ちょっと、何もないってことないでしょうよ!」
「んなこと言ったってないもんはないんだよ・・・」

確かに欲しい物がない時だってあるが、自分の誕生日前に何も欲しい物がないなんて・・・。何かあるんじゃないかと森は必死に悩む。そんな森を思って、植木は一つ頼まれてくれないか訊く。

「俺の誕生日の日、そうだな・・・三時くらいにいつもの公園のベンチで待っててくれないか?」

それは、森の時間が欲しい、という植木の回答であった。森はそれを嫌がらずに頷く。

「じゃあ学校終わった後、公園ね」
「あぁ」
「本当にそれだけでいいの?」

いいに決まってるだろ、とは流石に言えなかった植木は軽く頷いて別れを告げて受話器を置いた。



遂に誕生日当日。二人は一緒に帰らずにそれぞれの思いを募られせて一旦家に帰った。

「どんな格好していけばいいかな?」

家に帰った森は、今日の洋服で悩んでいた。せっかく植木と二人だけになるのだ、少し可愛い服を着て行きたかった。
そして選んだワンピースを着て、公園へと向かった。まだ十分前だが・・・。


「植木、まだかな・・・」

公園のベンチに腰かけ、森は植木の来るのを待っていた。

「なぁ、お譲ちゃん、お茶しない?」

変な男たちがいつの間にか森の周りに集まってきていた。森は驚いてその場に固まる。

「ほら、行こうよ〜」
「嫌ですっ!待ち合わせしてるのっ!」

人懐っこく接してくる男達を必死に嫌がるが、男達はなかなか自分の腕を引く手を離さない。

「おい、テメェら何してんだよ!」
「う、植木っ!!」

男達の腕を払って、森は植木の元へと走って行く。植木はその森に待っててくれ、とだけ言って前へ歩き出す。

「何だよ、ヤル気かっ!?」
「森にあんな事しやがって・・・許さねぇ!!」

植木は一番手前に居た男に振りかぶった。男はすごい勢いで飛ばされ、それを見た他の男はその場を逃げ去った。
植木は森の元へ戻り、そして申し訳なく謝る。

「ごめんな、遅くなっちまって」
「いいのよ、別に」

森は気にする風もなく、腕を顔の前で振っている。
森はその様子に安心し、ベンチに座らないかと問う。

「お誕生日おめでとう、植木」

ベンチに座り、改めて言う。学校では面と向かって言えなかったからこれが初めてだ。

「なぁ、森。俺、また能力貰ったんだ」

植木は森に今まで黙ってて悪い、と謝りながら続けた。森はどんな能力か早く見たいともったえぶる植木を促した。

「その・・・能力っていうのは大した事じゃねぇんだけど、俺にとってはすごい大事な物だ。その能力ってのは・・・・・・」
「その能力って?」

植木は深呼吸をして森と顔を向き合わせる。

「その能力は、『欲しい物を自分の物に変える能力』って言うんだ」

そして植木は、森の唇と自分の唇を重ね合わせた。

「コレが俺の能力」
「う・・・そ・・・・・・本当なの?」

今の出来事が嘘のようで、森は息が詰まりそうだった。こんな事、初めてだ。

「嘘じゃねぇよ。それとも・・・嫌だったか?」
「嫌なわけないじゃないっ!私だってあんたの事好きよ・・・」

その返事が植木の誕生日プレゼントとなり、二人はそれから、今後の為に、長い長い口づけを交わしたのは言うまでもない。



  後書き
 やってしまいました(笑)植森でやってしまいました(>_<)
 誕生日小説らしいです。植木ハッピーバースデー!!おめでとう!!
 こういうのが植木の喜びそうな誕生日プレゼントかなー?なんて妄想したのは授業中(逝っとけ)
 まぁいいじゃないですか〜!結果オーライ♪(どんな結果だよ)



UPDATE:2006.06.24


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