特別な日
1/2
現在一番隊隊長兼護廷十三隊総隊長である山本元柳斎重国が若い頃の事である。
元柳斎は何度か現世に赴いた事がある。一番印象に残っているのは、数十年前に赴いた時の事である。
その頃現世は「春」と呼ばれる時期を迎えていた。程よい太陽光を浴び、程よく温かい時期であった。気持ちの良いとある街中を歩いていると、「公園」と呼ばれる所に多くのピンク色の花が大きな木びっちり咲いていた。
その美しい木を眺めていると、お年寄りが近づいて来た。
「この辺では見ぬ顔じゃな。どうじゃい?日本一の桜の名所じゃよ。」
「はい、美しいですね。」
桜と言うのか、この美しい木は、と思いながらお年寄りと共に暫くその美しい「桜」を眺めていた。
――そうだ、この木を尸魂界に咲かせよう――
そして元柳斎は花屋に向かい、桜の木はどうしたら生えるのか尋ねた。
「方法はありますが、立派になるまで何十年もかかります。」
「それでも構わん。」
そして元柳斎は桜の木の育て方を聞き、尸魂界に帰った。
その頃の総隊長にその苗を差し出した。
「現世に咲いていた綺麗な「桜」と言う木について学んで来ました。どうでしょう、この尸魂界中に咲かせてみませんか?とても明るくなると思います。」
「それは本当だな?」
「はい。」
それからその頃の護廷十三隊隊長及び副隊長は桜の木を育てる為全力を尽くした。
数日で尸魂界全域に木を作る事が出来た。
「これが咲くまで、どのくらいかかる?」
「何十年もかかるそうです。」
「そうか・・・。私は見れないかもしれないのか・・・」
次へ
小説メニューに戻る