DOUBLE ICE

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日番谷と雛森がまだ幼少だった頃の夏。二人で同じようにアイスを食べていた。
日番谷がバニラで、雛森がストロベリー。仲良く食べていたが、日番谷の頬に溶けかけたバニラアイスがついているのを見た雛森は、味見して良いか日番谷に微笑んで尋ねる。それを日番谷が拒否するはずもなく、頷いて自分のアイスを差し出した。
しかし、雛森はその差し出されたアイスを通り越し、日番谷の頬についていた溶けかけたアイスをペロリとなめた。

「え?」
「ついてたの。溶けそうなアイスが。ねぇ、知ってる?味見には二つあるの。一つは食べる方。ただ、それだとアイスが減っちゃうでしょ?でも、さっきの方法ならアイスを減らす事なく味見する事ができるの」



「・・・というわけだ」

説明しながら日番谷はアイスを食べ終えた。それを聞きながらルキアもアイスを頬張っていた。何があっても暑くて耐えられなかった二人であった。

「なぁ、朽木」
「なんだ、十番隊、日番谷隊長」
「んだよ、堅苦しい。まだ怒ってんのか?」
「怒ってなどおらぬ」
「じゃあ訊くが、今空飛びたいか?」

何故唐突に、そう尋ねようとしたその言葉は、差し伸べられた日番谷の左手によって遮られてしまった。
その手の意味するのはすぐにわかった。右手は斬魄刀を持っている。

「まぁ、たまにはいいな、空を飛ぶのも」
「よし、決まりだな。外出るぞ」

二人は手を引き、十三番隊の裏の入り口へと向かった。
そして、日番谷は斬魄刀の名を呼ぶ。

「霜天に坐せ、氷輪丸!」

突如十三番隊の上空には大きな、この季節には不釣合いな氷の龍が現れた。バーベキューをしている連中にも見えるほど巨大な龍だった。
そして、そこには十番隊の日番谷隊長がいる、という証明をしていた。

「行くぞ、ルキア」
「あ、あぁ」

差し伸べられた右手を引いて、ルキアは日番谷と共に氷輪丸の背中に飛び乗った。

「隊長・・・これは、その・・・・・・」
「大空デート。まぁ夜だがな」

暗くて下にいる連中には見えないだろう、そう思って日番谷は振り返った。
熱くキスを交わす二人だが、どうにも涼しく感じられるのは、あの龍のせいなのだろうか。

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