DOUBLE ICE
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「待っておりました、日番谷隊長」
「おう、呼んでくれてサンキューな、朽木」
「いえ。心配するだろうと思って、お伝えしたまでです」
十番隊の日番谷と松本、そしてルキアにしかわからない会話。それが何故かむかついた恋次とイヅルである。
「あの、もう既に始まってしまっていますが、どうぞご自由に」
「おい、バーベキュー行こうぜ!!」
恋次とイヅルはバーベキューの煙の立ち込める方へ歩きながら、振り返ってこちらに手招きしている。
「隊長、行きましょう」
「俺は・・・あまり暑いのも嫌いだ」
「あら、猫舌?」
「それもあるが・・・・・・」
ルキアに目を向け、その後の台詞をどうしようか迷っていた。
「暑いのは苦手だそうです。私もそうなのでな。氷を操る者としてはな、暑さだけは好けん」
「そっかぁ。じゃあ、隊長。大丈夫です、あいつらは私がよく監視しておくから」
「頼むな」
「そのかわり給料あげてくださいねーー!」
それは無理だ、と手を振って、この後どうしたものかと少し段になった所に腰を下ろした。
その横に、ルキアも腰を下ろす。
「日番谷隊長も、暑いのが苦手なのですか」
「あぁ、まぁな」
「それでは、アイスはどうです?奥にありますが」
「いいのか?」
「はい」
お言葉に甘えて、と日番谷は案内される道を歩く。十三番隊はよくあがらされたものだ。ここの隊の隊長は人懐っこく、そして何故か日番谷に付きまとう、浮竹十四郎。
彼曰く、「同じシロちゃんだから」とか色々だ。もう聞き飽きて耳にタコができそうだ。
まぁそれで十三番隊の中へはしょっちゅう十番隊日番谷隊長が入り、そして憧れている輩はその後を追って声をかけてくる。それがウザくてあまり好けなかったのだが・・・。
今はそんな輩はいない。外に出てバーベキューやら金魚すくいなどなど娯楽で楽しんでいる。今はとりあえず暑さしのぎで楽しむしかないか、そう腰に下げた氷輪丸をさすりながら思っていた。
「こんな所まで持ってきてるんですね、日番谷隊長」
氷輪丸をさするのを見、ルキアは話しかける。どうやら奥とやらに着いたようだ。
「あぁ。何かあっても困るしな」
「盗まれたり隠されたりしたら嫌なものだしな。はい、アイスです」
「おぉ、サンキュ」
「それは、抹茶味というやつらしい。尸魂界では新商品だな。抹茶は渋いし、隊長も大丈夫でしょう」
「あぁ。あまり甘いのは苦手だしな」
ルキアは既に現世に赴いている間に一護と共に食べた事がある、と懐かしげに呟いた。
あの頃は自由気ままに過ごしていた。一護と共に、様々な敵を倒していた。そんな懐かしく思うくらい昔の話ではないのであるが。こうして懐かしい味を見ているとそう思ってしまう。
「朽木、お前のは何味なんだ?」
「わ、私のは・・・メロン味です」
食べながら日番谷は自分とは色の違うカップを持っているルキアに尋ねていた。
「へぇ、じゃ味見させて貰うぜ」
「え、いや、ひつがやたい・・・・・・・・・!」
「んまい」
自分の唇に合わせられた年下の隊長の唇に驚きを隠せないでいるルキア。まさか、味見と言って、日番谷隊長がこのような事をするなんて、と目を見開いていた。
それを見て、日番谷は呆れたように呟く。
「あのな、キスするときは目、閉じろよ」
「いえ、あの・・・味見するおつもりだったのでは?」
「いいじゃねぇか。味見できて、そしてアイスは減らない。一石二鳥の味見の仕方なんだぜ、これ」
「それとこれとはっ!!」
ルキアは顔を真っ赤に染め上げて首を横に振っていた。自分のファーストキスであった、それが理由。
「ま、嫌だったなら悪いな。俺、これを雛森に教えてもらってよ、なるほどなって」
「雛森、副隊長にですか?」
「あぁ、このくらいの時期、だったかな・・・・・・」
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