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あいつと会ったあの日から

俺の心は、ずっと・・・・・・・・・

一期一会の出会い


俺はいつものように執務室で仕事をしていた。
副官である松本は、ソファーに座ってくつろぎながらも、珍しく仕事をしているのを見て、俺は今にでも雨が降るんじゃないのかと思った。

いくら時間を費やしても減らぬ書類の山・・・。いつになったら片づくのかと溜息をもらしたその時、松本は席を立った。


「隊長、お茶、いりますか?」
「あ、あぁ、悪いな」
「いえいえ。少し待っててください」


いつにも増して、気まで利いている自分の副官に驚きながら、また減らない書類の山に手を伸ばした。


「隊長、お待たせしました」


暫くして、お茶を取りに行った松本が戻って来た。
俺は礼を言い、そのお茶を飲んだ。
自席に着いた松本は、終わったらしい書類を手に取り、こっちに戻って来た。


「これは、どの隊に渡せばいいんです?」
「・・・・・・お前、今日はどうしたんだよ?」
「え?出来る時に仕事をしておいた方がいいかなって」
「あっそ。(いつもやってくれよ・・・)それは八番隊だ」
「あ、わかりました。今から行って来ます♪」
「じゃあついでにこっちも頼む」


同じく八番隊宛の書類十数枚を整理された棚の中から出して手渡し、八番隊へと向かう松本を見送った。




松本もいなくなり、静かになった十番隊執務室。しかし、未だに減る余地を見せない机の上の書類たち・・・。


「休む暇なんて、ねぇのかよ・・・・・・。隊長だからって毎日これはキツイゼ・・・。はぁ、あん時が懐かしいな」





「隣りの家に引っ越してきた雛森と言います。こっちは娘の桃です」
「よ、よろしく・・・」


母親の後ろに隠れ、少し上目ずかいに挨拶をしてきた、その少女の名は桃。
名前にあった感じの、可愛らしい女の子であった。髪を二つに縛ったその紐は、名前と同じ、桃色だった。

それは、恐らく一目惚れだったに違いない。
早く仲良くなりたくて、すぐ遊ぼう、と誘った。
彼女は嫌がりもせず、小さく頷いて母親の元を離れ、自分の下へと駆けて来る。自分より少し年上のようだったが、気にもしなかった。


「紹介が遅れたな・・・。俺は、日番谷冬獅郎って言うんだ。よろしくな、桃」
「う、うん・・・」



この出会いが一生に一度の運命だと信じ、それから毎日、毎日・・・。
次第に打ち解けていき、俺の心はいつの間にか桃でいっぱいになっていた。


それから何年が経ったのだろうか。桃の瞳には、俺が映らなくなっていた。
俺の元からあいつを引きずり出した忌わしいやつは、五番隊隊長、藍染。桃は、あいつに憧れを抱き始めてしまった。
その頃からだ、桃が俺から離れたのは・・・。
もうその日から、幼馴染みのように接しなくなってしまった・・・・・・・・・。

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