獅子と狛村?

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あれは、夕焼けの綺麗な夕方の事であった。
日番谷は隊長成り立ての頃、尸魂界内を散歩していた。
すると、前からカゴの様な物を頭からかぶった人が歩いて来た。日番谷は不思議そうに見ていた。

「やあ、どうしたんだい?」

親しげに話しかけて来て少々驚いていたが、その時感じた感覚に、口が滑ってしまった。

「・・・ワンちゃん?」
「・・・・・・・・・」

日番谷の一言で暫く沈黙が走った。

「何故・・・何故わしが犬だとわかったのだ、お主。普通ではないな?」
「ああ、紹介が遅れた。俺は、こないだ十番隊の隊長になった日番谷冬獅郎って言うんだ。」
「お主が?まさか、史上最年少の・・・!?」

コクリ、と頷く日番谷に、相手はそれじゃあ、と日番谷を建物の物陰に連れて行った。そして、隊長ならば、とカゴを外し始めた。

「ほ、本当に・・・犬なのかっ!?」

カゴの裏に隠された相手の素顔を見、驚きのあまり日番谷は裏声になってしまっていた。

「その通り・・・。わしは、七番隊隊長、狛村左陣と申す者・・・」
「七番隊・・・そうか、よろしくな、コマッ!!」

狛村は、早速略して呼ぶ日番谷に唖然として言葉を返せなかった。


それが、日番谷冬獅郎と狛村左陣の出会いであった。そう、これが現世で言う、『獅子と狛犬』伝説である。しかし、この日から尸魂界では『獅子と狛村』となった。


そんな昔の事を考え、クスクス苦笑していた日番谷。目の前に積まれていた筈のお菓子の山はいつの間にか減っている。しかし、自分の机の上に置かれた書類の山は、全く減っていない。

「あー、これが、『犬の手も借りたい』って事なんだな・・・」

天才と謳われる日番谷であるが、自分の今言った台詞の過ちに気づかず、自分の机の上にある書類を片づける為、重たい腰を持ち上げた。

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