飛び込み禁止

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「どした?考え事か?」
「ひゃあ!」
「だーから、驚きすぎだって」
「ででででも考え事してる時に話しかけられたら驚くじゃないですかっ」

悪い悪い、と差し出された湯気が立ち上る湯のみを受け取り、手を温めた。
その間、やけに視線を感じるので顔を上げたら、やはり日番谷隊長に見つめられていた。

「ななな何用ですかっ!!?」
「面白いな、お前」

クスクス笑っている。やはり、からかわれている・・・・・・。そう思ったらちょっと悲しくなったが、片思いなのだから仕方ない、と気持ちを落ち着かせる気持ちでお茶をすすった。
その間も視線を感じたが、今度は気にせず飲めるくらいの優しいものだった。だから別に気にもならなかったのでそのままお茶を飲んでいたのだが、突如日番谷は立ち上がった。どうしたのだろう?

「誰だ」

執務室のドアに一歩、一歩、とゆっくり近づいていく。誰かいるようだ。霊圧を抑えているのか、もともと小さいのか、ドアの外に気配を感じた。


彼は書類を他隊に渡しに行ったきり3時間帰って来なかったらしい。そこに尋ねてきたタイミングの悪かったルキアだったが、でも新しく白いページを埋める事が出来て嬉しかった。




「大丈夫か!!?」
「隊長・・・・・・最近忙しくて・・・その・・・・・・えと、好き・・・です」
「え?」

突然すぎたあの台詞。本人は覚えていないらしい。面白いからあのまま黙ってる事にした。そしていつか機会があれば俺もアイツに言ってやろう、と。
それはかなりいけない事だってわかってた。自分だけ幸せにひたって、相手が可哀そうな気もするが、それでも日番谷は自分と彼女の立場をよく考慮し、言わないでいる事を選んだのだから、許して欲しい。
だからせめて、執務室までは運んで行ってやる。そう、あの時阿散井恋次が彼女を抱えて双極から彼女を連れて逃げていた時のように・・・・・・・・・。



突然自分の胸に飛び込んだ彼女を、俺は責めはしない。仕事続きで大変だったのはわかったからさ。貧血になったって可笑しくないし。不意打ちな彼女の行動、言動だったが、踏み込んでしまったのだから仕方ない。また一歩、お互いの距離が近づいていた。それは、日番谷にしか分からない事であった。
飛び込みは、危ない事だらけだよ?気をつけないといけないぜ、こんな腹黒い俺みないな輩が今のご時世多いからさ、朽木。
いや、これからは・・・ルキア・・・・・・だな。

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