STORY TELLER

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今日、いつになく陽気な隊長…。どうかしたのかしら?なんか変な物でも食べた…とか?普段以上に仕事熱心な隊長。無駄に怖いんですけど…。あまりに怖くて、私も机に向かって書類整理中…。もう夕方だし…。あ、お茶入れよーっと。


お茶を入れて隊長に持ってってあげると、
「おぉ、松本。今日も優しいな。」
といつも以上の笑顔で…。な、何!!?いつもなら………「あ?茶か?」と言ってすぐすするのに…何か企んでんじゃないの!?それに霊圧がなんか和やかな気までするんですけどぉ。私がおかしいのか、それともやっぱり隊長が何か企んでいるのか、全くわからない…。もしここへ桃が来ちゃったら、やばいかもなぁ。


と思っている矢先、執務室のドアが開いて、黒い死覆装で黒髪の小柄な子が入って来た。
「こんにちはー。日番谷君、書類持って来たよ!」

あちゃー、と私は頭を抱え込んだ。噂をすればやってくるって、こういう事なのね…。どうしよう、隊長の今日の態度を見たら、桃引くかも…。
「あぁん?雛森か?」
あれー?いつも通りぃ??あなた一体何なのよ?もうわけわかんないしぃ〜。と私はソファーに寝そべった。方目を開け、私は二人の様子を窺った。桃はいつも通りの隊長に、胸に抱えた書類を手渡した。それを見るなり、隊長は有りもしない事を言い始めた。

「なぁ、雛森。ずっと言おうと思ってたんだけどな、お前嫌い。」
「…え?」

ビックリして、私は飛び起きた。私は隊長が桃の事好きなの知ってるんですが…。何故、突然その桃に対して『嫌い』と言ったのか、全くわからなかった。桃も、流石に動揺している。
「な、何よ!突然…。」
私は桃も隊長の事好きなのを知っている。だから、桃の震えた声と、目から滲み出ている涙の理由もわかる。やっぱり今日の隊長、変だ…。嘘にも程があるわよ、全く。いくら好きなのを、言葉にも態度にも示せない不器用でも、こんな嘘、通用するはずないじゃない…。
「俺はお前が嫌いだ!大嫌いだ!!」
「ひ、酷すぎるよ…。私…わた………」
ついに、桃は泣き出してしまった。私は急いで止めに入った。隊長は何とも無いような顔をしている。ムカつく顔ねぇ。あんたの好きな人が泣いてるってのに。それも自分の言動のせいなのにな。


「おい、松本。今日何の日か知ってるか?」
隊長が何を言いたいのかわからなかったが、とりあえず、今日は4月1日。なんかの記念日じゃないし…。知りませんっ、とそっぽを向きながら答えた。桃はまだ、ヒクヒク泣いてるのに、無神経な隊長だわ、と思いながら…。


「今日はエイプリルフールって言う日だ。知らねぇのか?」
「何ですか!?エイプリルフールって!!そんな事より、桃を泣かせてるんですよ!!?」
私は苛立って隊長に怒鳴った。しかし、隊長はまだ笑っている。


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