夏涼

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夏の間、十番隊では何度か行事を恒例化したものをしている。と言っても、それは数年前から始まったばかり。でも、それは以外にも隊内で一番人気の行事となっている。
その行事とは?まぁまずはその前にその行事が出来るに至った経緯から。





夏の十番隊のみの隊舎前で行われる朝礼。隊長である日番谷の直々の挨拶・・・なのだが暑さで隊員たちが唸り声を上げていた。

「あー、皆暑いと思うが聞いてくれ」

日番谷が話し始めるが、誰一人見向きもせず。これには日番谷も困り果ててしまう。
確かに今日は炎天下で、三十度を軽く上回っている。
これではまったく話にならないし、自分も実は暑くて溜まらない。汗が額から滲み出てるし・・・。
困った日番谷は横にいる自分の副官、松本に助けを求めて目線を送る。

「そうですねぇ、私も暑くて胸がむれそうですよ。あ、そうだ!」

その松本の思い付きが恒例となってしまったのだ。

「氷輪丸使えば良いじゃないですか」
「へ?」
「だから、この十番隊の上空を氷輪丸に飛び回ってもらえば、涼しくなるんじゃないですか?」

なるほど、と日番谷は手を叩き、それじゃあ早速、と行動までも速い日番谷。腰にさしていた斬魄刀に手を掛け、前触れもなく開放してしまう。

「みんな、今涼しくなるぜ!!・・・・・・・・・霜天に坐せ、氷輪丸!!!」

みんなは突如上空に現れたその巨大な氷の龍に絶句する。始めてみる隊員も中にはいたし。
日番谷はそれをお構いなしと言う感じで、再び話し始めた。

「どうだ、涼しくなったか?」
「「「はいっ!!」」」
「じゃあ話を始める。これからの仕事の内容と、現世への任務、それから・・・」

今後の話をし始める。今度は話を聞かぬ隊員はいなかった。松本は良いことしたな、と涼しい顔で話している日番谷の横顔を見ていた。

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