星に願いを

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「到着。あ、ほら、あの木。『恋人の木』っていうのよ」
「そうなんっすか」
「ひ、ひな、雛森君が!」

日番谷と雛森がいる恋人の木のある丘まで辿り着いた松本と恋次、吉良。
ちょうど日番谷が何か言おうとしている所であった。
遠くにいる三人には何を言っているのかまったく聞こえないが、何をしているかくらいは見える位置だ。

「やだ、隊長ったら抱きしめちゃって」

前に雛森がつんのめってしまった所を見ていない三人は日番谷が思い切り雛森を抱きしめているようにしか見えなかった。


「雛森、言いたい事が、あるんだ」

雛森と目を合わせて言いたかった日番谷。雛森の顔を自分の方へ向ける為に雛森の顔に手を添えた。

「何?言いたい事って・・・」
「あのな、俺・・・・・・お前の事が好きなんだ」

日番谷の顔が急激に赤くなったように見えた。しかしそれは花火で遮られる。
そして雛森は口を開く事が出来なくなっていた。よく花火を見たいのに、目の前にいる彼の方が綺麗で、そして自分を愛しく思ってくれていて・・・。雛森はどうしたらいいのかわからなかった。


「隊長・・・すごいわぁ。花火を背にしてキスしちゃって」

乱菊は応援していた二人がようやく結ばれた事が嬉しくて、笑顔でその光景を見ていた。そして日番谷の短冊に書かれた願い事が叶った事を祝った。




『雛森を自分のものにできますように』

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