一心不乱な思い

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「ちわー、恋次!元気かぁ?」


俺は今、六番隊に来ている。十番隊からの書類を届ける為、わざわざ隊長である俺が赴きに来たのにはちゃんとした理由がある。


「日番谷隊長、こんにちは。どうしたんですか、わざわざ隊長が書類届けに来るなんて。」
「ああ、ちょっと訊きたい事があってさ。・・・その、雛森の事なんだが・・・」
「雛森がどうかしたんですか?」
「ちょっと最近様子がおかしいんだよ・・・。毎日俺の所に遊びに来てたアイツが、途端に来なくなって、心配なんだ。」


とても不安だった。その気持ちを暴露出来るのは、恋次だけだった。何故だか、他の誰より不安をぶちまけられる。
恋次も少し心配になったのか、考え込んでいる仕草をしている。

数分、沈黙が走った。どちらも真剣な表情をしていて、事態が深刻化している事が見てとれる。
その沈黙を破ったのは、恋次だった。


「とりあえず、五番隊に寄りました?」
「いや・・・」
「行ってみたらどうっスか?」


何もしないより、それが一番だと思った。俺は頷いて、六番隊を後にした。
向かったのは、自分の隊、十番隊。もしかしたら昨日、一昨日と用事があって来れなかっただけで、今日来ているのかもしれない、そう思ったからだ。

十番隊に着いて執務室に入ったが、そこには自分の副官しかいなかった。


「随分長かったですね、書類届けるの。恋次とお喋りしてたんですか?」
「あ、あぁ。」
「あまり遅いので、隊長の分の仕事、やっておきましたよ。」
「わ、わりぃ・・・。後はやるから。」
「もう終わりました。どうぞ休憩しててください。追加が来るまで。」


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