第三章

第二節



「おう、よく来てくれたな!先輩たちももうすぐ揃うからそこらへんに座って待っててくれるか?」

剣道部の練習道場につくと、黒崎先輩と他の二、三年生が数人来ていた。一年生も冬獅郎とイヅル、桃、ひよ里の四人しかいなかった。










暫く経ってから、黒崎先輩が戻って来た。そして先輩がだいたい揃ったからそろそろ始める事を教えてくれた。するとぞろぞろと先輩がたくさんその練習場に入って来た。
「1、2、3、4人か。そんなもんだよなぁ」

新入生歓迎会で喋っていた、部長の先輩がそう呟いた。確かに今、一年生は冬獅郎たち4人しか座っていなくて、先輩が来るのを今か今かと待っていたのであるが。先輩が一年生の前に腰を下ろした時、冬獅郎は人数を数えてみた。二、三年生合わせて九人しかその場にはいなかった。

「じゃあとりあえず、俺がこの高校の剣道部部長の斑目一角だ。クラスは三年C組。じゃあ三年全員挨拶終わったら二年、そんでお前ら新入生が自己紹介。それで文句のある奴は手ぇ挙げろ」
勿論逆らう者はいない。それを確認すると、斑目先輩の隣りに座っていた体格の良い先輩が口を開いた。先日見学に来た時に会った先輩だった。

「俺は一角と同じC組の檜佐木修兵。生徒会副会長もやってる。だからあんま部活には来てないけど、よろしくな」
「ボクはE組市丸ギン。よろしゅうな」

独特の喋り方で、目は細いが何もかも見透かされている気がして、冬獅郎はちょっとゾクッとした。何だが、相性が合わない、そんな印象を与えられた。

「市丸と同じクラスの矢胴丸リサや。よろしく」
彼女は眼鏡におさげという、今時の格好をしていないが目は凛としていてカッコいい姉御肌な雰囲気がある。

「僕はギンと幼馴染みの神風槍介です」
彼はギンと同じくらい背が高い。と言うよりも、どちらかと言うと肉がないもやしの様な男子である。

「幼馴染みは私もよ!!私はみんなご存知の通り剣道部唯一のマネージャー!みんなのアイドル、松本乱菊よ♪」
最早新入生歓迎会で今ここにいる入部希望者は皆この乱菊に惹かれて入って来た、という新入部員も多くない。というよりも、恐らく全員乱菊目当てなのだろう。そんな感じでおなじみなのだが、彼女の魅力は何よりもそのワイシャツさえも張り裂けそうなほどの胸であろう。


そして乱菊から拳三つ分ほど離れて黒崎先輩が座っている。

「俺からこっちは二年な。黒崎一護、二年E組だ」
今までずっと“黒崎先輩”であったが、そろそろ一護としよう。一護はちょっとオレンジがかった髪が特長だ。

「私も同じクラスの白崎林檎よ。剣道部の数少ない女子部員の一人でっす」
彼女は目がぱっちりしていて剣道部員だとは一発ではわからないような、可愛い女の先輩であった。乱菊とは異なり、子供っぽさが残ってる。

「A組の平子真子や。よろしくたのんますわ」
ひよ里の知り合いの真子はおかっぱ頭、と言えばいいのだろうか。そして歯並びもよく、綺麗に整っていた。





以上が冬獅郎がこれから剣道部で過ごす先輩の顔ぶれ。彼らとどんな生活が待ち構えているのか。冬獅郎はこれからどんな事に巻き込まれていくのか。今冬獅郎の胸の中はドキドキとワクワクが支配しているのである。




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