Happy Snow

3/5


「どうしたんだよ、こんな時間に。もうすぐ日付け変わるだろ」

自室へ誘い入れ、温かいお茶を客用の湯飲みに注いで差し出す。身体が完全に冷えきっていたから。
暖房の前に座り込み、雛森は渡された温かいお茶を飲んだ。

「湯加減は平気か?」
「何、その風呂の温度訊いてるみたいな訊き方」

日番谷は、そう言われてようやく気づいた。自分の訊き方だと、そう取られる、という事に。しかし、それをうまく誤魔化してもう一度訊く。

「猫舌のお前でも飲める温度だよなって訊いてんだっ」
「うん、大丈夫。いつもごめんね」

自分が猫舌で熱いのを飲めない事を考えてくれていた事に有り難く思い、またお茶をすする。
雛森は時計を探すべく部屋を見回した。そして机の上に置かれた置時計を見つけ、時間を確認した。まだ、10分ある。なんとかこの10分をやり抜かなければ、そう思って日番谷の書類を覗き込んだ。

「ところでお前、何しに来たんだ?まさか道に迷ったとか?」
「雪降ってたからって、遭難じゃないって」
「わりぃわりぃ。で、用件はなんだ?」
「うっ」

いきなり困った。本当昔から日番谷は勘が鋭く、いつも私の心を見抜かれていた。今回ばかりは、なんとかうまい口実を作り、しばらくここに居させてもらわなければ。しかしこういう事を考えるのはあまり上手くない雛森は、目を泳がせていた。

「五番隊でなんかあったとか?それとも家族と喧嘩になって家を追い出されたとか?」

前者はまぁ許せる質問だ。だが、後者はどうだ、まるで子供扱いだ。
確かに雛森はまだ子供だが、相手の日番谷の方が年は下のはず。そんな事心配されるほど・・・・・・でも、と雛森は少し考え、口を開く。

「そ、そうなの・・・。ちょっとお母さんと言い合いになってむかついてここ来ちゃった」
「はぁ!?ここはお前んちじゃねえぞ!!」

自分でも分かっているのだが、こういうムードだと冷静になれない日番谷は、すぐ怒鳴ってしまう癖を何とかしたい、といつも思うのだが、どうしてもまたこんな場面で怒鳴ってしまった。

「わ、わりぃ・・・怒鳴るつもりじゃ・・・・・・」
「ううん、いいの。私が悪いんだし」

戻る
次へ
小説メニューに戻る