Happy Snow
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あと5分。チラリと日番谷の背後の時計で時刻を確認する。
当の日番谷は明日・・・といってもあと5分だが、何の日かわかっているのだろうか?自分にとっても大切な日であるはずなのだが・・・・・・。
日番谷は自分の悪い癖を直したいんだ、と雛森に語り始めた。しかし、雛森は机の上に整頓されて積み重ねられている書類を指さし、早くやりなよ、と促した。あと4分、黙って彼の話を聞いていられる自信がなかったから。
お茶をすすり、日番谷の進める筆をただボーっと眺めていた。
12月20日午前零時。ようやく日付けが変わった、と雛森は口を開いた。
「ねぇ、日番谷君。日付け変わったよ」
「・・・それが?」
いつもこうやって書類をまとめて気づけば12時を過ぎ、日付けが変わるだけで、日番谷にしてみればなんてことはない事である。それを今更なんだと言うのだろうか。
「やだ、忘れちゃったの、今日が何の日か」
日番谷はなんのことかわからず、首を傾げている。まったく、と雛森は胸ポケットから包装された箱を取り出した。
もう、何の事かわからないとは言わせないぞ、とその箱を日番谷の机の上にチョコンと置いた。
「何のつもりだ。ビックリ箱だろうと驚かないぞ」
「ほ、本当にわからないの?」
雛森は何処まで忘れちゃったんだよ、と肩を落とす。まぁ毎年の事なので構わないのだが。いつもこの日になるとプレゼントと共に教えていたから。だから、今年はこの日になる瞬間を共に味わいたくて家に押しかけてきたのである。
日番谷のキョトンとした表情・・・拝めるのは私だけ。それだけで充分なのだが、まだ伝えてない事があるからね。
何もわからない日番谷の手を握り、顔を見つめた。いきなりの事で動揺しきった顔をした日番谷も面白いな、そんな事を考えながら言った。
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