星に願いを
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七夕前日、日番谷は五番隊へと向かった。もちろん五番隊宛ての書類を届けに行く、と言って。
「ちわー」
日番谷は五番隊執務室の扉を開け、中に居た藍染と雛森に挨拶をした。
「やあ、日番谷君。また仕事かい?」
「ああ。これだ」
日番谷は藍染に書類を渡しながら雛森をチラリと見る。ここ最近忙しかったという証拠を目の下に作っていた。
「なぁ、今時間いいか?」
日番谷は藍染に尋ねた。
「雛森君、少しいいかい?」
「はい」
「雛森、あんま無茶すんじゃねぇぞ」
日番谷はそれだけ忠告すると扉の向こうへ消えていった。
雛森はその姿を見て少し微笑んだ。暫く忙しすぎて十番隊にも行けず、日番谷の顔を見れなかったから。
「なぁ、雛森をあんな状態にさせるまで仕事させてたのか!?」
執務室から離れた廊下で日番谷は怒鳴り始めた。藍染はその日番谷の様子と打って変わって正反対の態度でその答えを述べた。
「休むよう促したんだけどね、休まずやってくれていたんだよ」
「じゃあよ、今晩はゆっくり寝かせてやれ。それで明日は非番にしてやってくれ」
「明日って七夕かい?」
「そうだ。せっかくの七夕に仕事をこなしてなくちゃいけねぇなんてアイツの年からして少し無茶だろ。目の下に隈まで作らせやがって」
「わかったよ、今日はゆっくりさせてあげるから、そう怒らないでくれないか、日番谷君。明日も君の望むよう非番にする。それでいいかい?」
「文句なしだ」
日番谷は勝ち誇ったように腕を組み、藍染に別れを告げて十番隊へと戻って行った。
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