星に願いを
4/9
「雛森君、待たせたね」
「いえ、平気です、藍染隊長。・・・あれ?日番谷君は・・・?」
「ああ、仕事が山積だと言って話が終わると帰ってしまったよ」
雛森はその後少しだけでも話せると期待して待っていたのだが、それはどうやら叶わなかったらしい。
そして雛森は思い出したように日番谷と何を話していたのか藍染に尋ねた。
「別に大した事じゃないよ。仕事の量が多いから日々ストレスがたまってたんだろうね。怒りを僕にぶつけてきたよ」
参ったよ、と苦笑いしながら藍染は席に着いた。
「日番谷君ったら、藍染隊長に怒ったなんて!何もしてないじゃない!!」
「大丈夫だよ。それにそういう愚痴を聞くのもたまにはいいじゃないか。頼られていると感じるというか」
いくら元気な素振りをしていても、いつもと少し違う感じはする、と雛森を見ていて前から気づいていた藍染だが、どうにも雛森は意地を張ってばかりで、全く休もうとしていない。
「ねぇ、雛森君。今日は早くあがっていいよ」
「え?でも・・・」
「最近すごい頑張ってくれてるし、僕としてもそれだけで助かってるよ。仕事が減らないのはさっきみたいに書類が次々に回ってくるせいだし、それに女の子に目の下に隈を作らせるような隊長だと僕が勘違いされそうだしね」
雛森は慌てて鏡で自分の顔を確認する。そこには目の下にはっきりとした隈が出来た自分の顔がある。
藍染はその動作を見て苦笑するが、すぐ先程日番谷にしつこく言われたようにするか、と思って雛森を手招きする。
それを見て雛森は元の場所へと戻る。
「今日は早めに上がってゆっくり休むと良いよ。それと、明日も非番で良いよ」
必死に顔を横に振る雛森だが、もうわがままは聞かない、と今度は藍染が意地を張る。
まぁそれはこれ以上副隊長である雛森に仕事を続けさせると自分が殺されそうな気がしたからだ。
「わ、わかりました・・・。明日はゆっくりさせて頂きます」
ペコリと有り難く頭を下げ礼を言うが、その数秒後には行動を変えて、「上がるまでやるぞ!」と雛森は腕まくりをして仕事を再開した。
戻る
次へ
小説メニューに戻る