星に願いを
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そしてついに七夕当日。朝から昼まで部屋でくつろいだりしながら日番谷は夕刻をずっと待っていた。その長い時間は日番谷にとっては一瞬の事のようであった。
雛森のことを考えながら過ごす時間はとても短かった。
「日番谷君、いる?」
突然やってきた来客者、もちろん雛森。驚きながらも日番谷は扉を開ける。
「どうしたんだよ?」
「藍染隊長に今日非番を貰って、部屋にいたんだけどね、暇で十番隊に遊びに来たんだけど、日番谷君も非番だって乱菊さんに聞いたの」
事の経緯の終始を話し、雛森は日番谷の隣りに座る。
「今日って七夕なんだよね」
「あぁ」
日番谷は肩に感じた重みと温もりがとても久しぶりの気がして気がそちらへ完全に向いてしまい素っ気ない返事を返すが雛森には気づいていない。
「ねぇ、今日の夜、開いてる?」
「開いてるが、なんで?」
「今日尸魂界で花火大会があるんだって。それを日番谷君と二人で見たいなって」
雛森は日番谷の肩から頭を上げて日番谷に笑顔で誘う。その顔を見て日番谷は断る事など不可能だった。
「開いてる・・・」
「じゃあ、一時間後くらいに五番隊の私の部屋に来てね!」
準備があるから、と言って雛森は日番谷の隣りを離れて部屋を出て行ってしまった。
日番谷はそれを切なくは思わず、自分も支度をしようと腰を上げた。
その頃十番隊執務室では、今日の予定について副隊長の松本を中心に話し合っていた。
「今日は夜の七時から花火大会よ。それでなんだけど、その一時間前には仕事を打ち切りましょう」
「えっいいんですか!?」
隊員たちは突拍子もない松本の台詞に即座に突っ込む。
しかし松本は気にする様子もなく、減ってきた自分の机の上の書類を指差す。
「もう結構仕事も減ったし、それに尸魂界で年に一回しか行わない七夕の花火を楽しみたいじゃない?だから今日は六時には全員上がり!あとは明日よ」
松本はそれだけ言うと隊員を執務室から追い出す。隊員たちは驚きながらも今日の花火大会の為に少しでも仕事を多く済ませようとすぐ仕事に取り掛かる。
あんな事を言って置きながらあと三十分で六時である為何もせず、窓辺に腰かける。
「隊長、今日はどおすんのかしら。・・・あ、そうだ。隊長、どんなお願いしたんだろ」
昨日日番谷が短冊に記した願い事が気になった松本は、外に出て日番谷の短冊を探し始めた。
「あ、これだわ!えーと、何々?・・・・・・・・・え・・・?」
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