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星に願いを

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日番谷は黒いスーツに身をまとい、髪を整え準備万端であった。時計を見るとあと十分で待ち合わせだ。

「もういいか」

部屋を飛び出して雛森の待つ五番隊の雛森の家へと向かう。


「おい、入って良いか?」
「う、うん、いいよ」

そこには髪を下ろして、そして梅柄の着物に身を収めた雛森がいたが・・・。

「ねぇ、いきなりで悪いんだけど、帯、締めてくれない?」

雛森はずっと着物を押さえて日番谷がくるのを待っていたらしい。呆れたように溜息をついて日番谷は雛森の横に置いてある帯を雛森の腰に巻き始めた。

「うまいね、日番谷君」
「十番隊隊長をなめんじゃねぇよ。しょっちゅう松本に頼まれてたしな」

なるほど、と雛森は感心する。
よし、と日番谷は雛森の背を叩く。

「はうっ」
「完成!で、その花火がよく見える場所に移動すっか」
「待ってっ!それだと他の人に見られちゃう・・・」

そうだな、と日番谷は腕を組んで考える。
日番谷は良い場所が思い浮かんだのだろうか、雛森の答えを聞かずに腕を引いて部屋を出た。

「ちょっと!!何処行くの!?」

雛森の質問にはいっさい答えず、ひたすら夜道を走っていた。


しばらくして、デートスポットとして大人気の丘へと辿り着く。その丘が何故デートスポットとして人気かと言えば、そこには「恋人の木」という大きな木が存在するから。その木の下で告白し、その証をしたカップルは必ずくっつく、というお伽話のお話のような場所である。

「ねぇ、ここって一番人多いんじゃ・・・」
「大丈夫だ」

日番谷は急激に霊圧を高めた。自分の存在を主張するかのように。その霊圧が残っている限り、誰もここへ近づかないであろうと思ったから。
それなら何処でやっても同じなのだが、こういう場所が今必要だと思った。

「おい、こっち来いよ!」

日番谷は雛森の腕をまた引いて、数十メートル先の木の下へと誘導する。


「ちょっと!」
「別にいいじゃねぇか。暫くこうさせてくれ・・・。暫く会えなくて寂しかったんだよ」

木の下に着いた日番谷は思い切り雛森に甘えていた。表情は凄く柔らかく、優しいものである。
雛森はその表情を見たいが自分の後ろに顔があるため見れないし、で一生懸命日番谷を押し戻そうとしているがそれは叶わなかった。

「あと少しで始まるな」

不意に空を見上げた日番谷はポツリと呟いた。空には無数の星が見える。あれが『天の川』と言われるものなのだろうか。


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